Covid-19の爆発的流行は、医療機関に大きなショックとともに多大な負担と変容をもたらしましたが、
看護基礎教育現場にも大きな影響を与えました。
日本看護系大学協議会調査結果によると、2020 年1~9月の間の臨地実習のうち、Covid-19の影響による変更がなかった科目は12.9%のみで、86.9%は実習内容や方法を変更しました。
“ 変更” は、実習時期と、臨地から学内など場所の変更も含まれます。
臨地実習が未履修では卒業できませんが、厚生労働省と文部科学省は未曽有の事態に対応すべく、
「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う看護師等養成所における臨地実習の取扱い等について」の通知を
発出しました。この通知では、コロナ禍においては期間限定とはいえ臨地実習を学内演習に代替してもよいことが示され、状況によっては学生が臨地実習を経験せずに看護師になる可能性もあります。
ウィズコロナ時代は、臨地の体験がきわめて乏しい新人看護師を臨床現場で受け入れるため、彼らの特徴を
どのようにとらえ、どのように人材育成にあたるべきなのか、考えていく必要があります。
【参考文献】
・日本看護系大学協議会 看護学教育質向上委員会: “ 2020年度 COVID-19に伴う看護学実習への影響調査 A 調査・B 調査報告書”
・厚生労働省: “ 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う看護師等養成所における臨地実習の取扱い等について”
【プロフィール】
著者:
学校法人 湘南ふれあい学園 湘南医療大学 川本 利恵子 先生
産業医科大学産業保健学部教授、九州大学大学院医学研究院教授などを経て、
2019年に湘南医療大学保健医療学部看護学科長に着任。
公益社団法人日本看護協会元常任理事。一般社団法人日本看護系大学協議会理事。
※本コラムは、メディカルサポート便り 2022年4月号に掲載されたものです。
投稿日 : 2022.04.01