■現場とともにあるOJT教育~ウィズコロナ時代の人材育成~
第3回 コロナ禍での看護基礎教育の工夫① ― 事例による看護過程の展開 ―

コロナ禍で臨地実習が行えない教育現場では、代替として学内演習が行われました。
そこで、本学で実施した成人看護学実習の模擬事例演習をご紹介します。
 
演習事例は子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける患者です。
模擬事例は2週間の実習で、実習初日に入院し、実習終了までに退院する設定としました。
術前~術中~術後を通じ、毎日患者の状態に即した情報を提供し、
学生は日々更新される情報をもとに看護展開をしていきますが、
臨床現場と同じ速度で進む周術期患者の変化に四苦八苦しながら取り組みました。
実施した印象として、学生にとっては臨地実習より看護過程の展開のほうがスムーズであり、
学内で落ち着いて模擬事例に向き合うことができるため、思考の整理が容易になったのではないかと感じました。
 
一方で、臨地実習ではなぜ看護記録が書けなくなるのか?ということがみえてきます。
模擬事例では情報が紙面上にしかなく限られますが、緊張感の高い現場では、
あふれる情報のなかから必要な情報を取捨選択することが求められます。
その現場で看護記録を書きあげる必要があるからではないでしょうか。
言い換えれば、模擬事例では情報の洗い出しという能力を養うことは困難ともいえます。


【プロフィール】
著者:
学校法人 湘南ふれあい学園 湘南医療大学 櫻井 友子 先生
千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センターで特任助教を務めたのち、
ベンチャー企業での健康アプリ開発などを経て2018 年湘南医療大学保健医療学部看護学科に着任。
臨床看護学領域講師。

※本コラムは、メディカルサポート便り 2022年6月号に掲載されたものです。

投稿日 : 2022.06.01

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