■現場とともにあるOJT教育~ウィズコロナ時代の人材育成~
第5回 コロナ禍での看護基礎教育の工夫③― さまざまな学内演習の実践 ―

コロナ禍で臨地実習ができない教育現場では、その代わりとして学内演習が行われました。各教育機関が独自に教育目標に即したさまざまな方法を取り入れ、組み合わせています。

前号までに、本学の成人看護学実習では模擬事例を用いた看護展開やシミュレーションによる技術演習を組み合わせて実施したことをご紹介しましたが、ほかの科目での現場の様子や看護師のメッセージの撮影動画等を教材とする演習もご紹介します。

日本看護系大学協議会の調査によると、臨地実習の代替として、視聴覚教材やシミュレーター器材を用いた演習、実習指導者や患者のオンライン招聘、XR(仮想現実VR、拡張現実 AR、複合現実 MR)の活用などが行われていました。実習目標を達成するために、それぞれの特徴を生かしてさまざまな手法が組み合わされ効果をあげていますが、一方で各教材とも目標(ゴール)に向かったストーリーが少なからず想定され、得られる情報も限られています。つまり、臨地実習の場に身を置くことによる、そこでしか得られない環境の体験や患者・スタッフとの出会い、それらを受けた学生の看護の感性の醸成は困難であり、学内演習の限界と言えるでしょう。


【参考文献】
・日本看護系大学協議会 看護学教育質向上委員会:“2020年度 COVID-19に伴う看護学実習への影響調査 A 調査・B 調査報告書 ”

【プロフィール】
著者:
学校法人 湘南ふれあい学園 湘南医療大学 櫻井 友子 先生
千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センターで特任助教を務めたのち、
ベンチャー企業での健康アプリ開発などを経て2018 年湘南医療大学保健医療学部看護学科に着任。
臨床看護学領域講師。

※本コラムは、メディカルサポート便り 2022年8月号に掲載されたものです。

投稿日 : 2023.08.10

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