■現場とともにあるOJT教育~ウィズコロナ時代の人材育成~
第7回 改めて知る基礎看護教育における臨床実習の意義②― DX の限界 ―

COVID-19の流行により世間のDX(Digital Transformation)化が加速していますが、基礎看護教育においても例外ではありません。コロナ禍でも教育を止めないために、インターネットを介した遠隔授業やweb教材が各教育機関で取り入れられ、また臨地実習ができない間はさまざまな患者事例情報を内蔵したシミュレーター(モデル人形)やVRを用いた学習が取り入れられるなどされました。学生は教職員よりもスムーズにDXに順応しています。2020年には文部科学省デジタル化推進本部が設置され、今後教育の場におけるDX化はますます加速することが予測されます。

一方で、臨地実習における生身の人との出会い、設定されたストーリー(患者事例)から逸脱する現場ならではの状況、やり直しがきかないことによる緊張感、その場でしか体験できない雰囲気などは、やはり臨地でしか経験することができません。DX教育は紙媒体では得られない優れた学習成果を蓄積しつつありますが、現実の患者に迷惑をかけることのない、安心して失敗できる学習環境です。たとえ同じ学習課題であっても、学生自身の学びの深さ、理解度においては現場で得られる学びにはかなわず、DX教育には限界があることを知っておかなければなりません。


【プロフィール】
著者:
学校法人 湘南ふれあい学園 湘南医療大学 櫻井 友子 先生
千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センターで特任助教を務めたのち、
ベンチャー企業での健康アプリ開発などを経て2018 年湘南医療大学保健医療学部看護学科に着任。
臨床看護学領域講師。

※本コラムは、メディカルサポート便り 2022年10月号に掲載されたものです。

投稿日 : 2023.10.17

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