看護基礎教育機関の新入生のほとんどは18 歳、つまり今年度の入学生は2003 年度生まれです。彼らは日本でインターネットサービスが普及する1990 年代半ば以降に生まれた、いわゆる「デジタルネイティブ世代」です。生まれる前からデジタル機器に囲まれている彼らは、デジタル機器の操作やデジタルデータの扱いに長けており、教員が学生から学ぶ場面も多々あります。知りたいことをネット上から画像・動画を含めて収集することができる彼らは恵まれた学習環境にあるといえるでしょう。
一方で、画像・動画に慣れていることから文章を読むことを苦手とする学生も少なからずいます。授業で文章を読ませると音読できない、または言葉のもつ意味がわからない学生に出会うことがあります。このような状況に接すると、これからは伝え方の工夫が必要なのだと痛感します。
このように彼らはSNS 上でコミュニケーションをとることが多いため、生身の人間と相対する対面での会話やコミュニケーションが苦手という傾向がよくみられます。背景には、日本の核家族化が進み続けていることも原因でしょう。祖父母とのコミュニケーションの機会が乏しく高齢者と話す機会がほとんどないということもしばしば耳にします。実習で自身と違う世代と対面し話すことは、彼らにとって勇気がいることなのを認識しておくとよいでしょう。
【プロフィール】
著者:
学校法人 湘南ふれあい学園 湘南医療大学 櫻井 友子 先生
千葉大学大学院看護学研究科附属看護実践研究指導センターで特任助教を務めたのち、
ベンチャー企業での健康アプリ開発などを経て2018 年湘南医療大学保健医療学部看護学科に着任。
臨床看護学領域講師。
※本コラムは、メディカルサポート便り 2022年11月号に掲載されたものです。
投稿日 : 2023.11.16