コラム

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2025.08.12

■多様化する価値観を背景にした働き方改革
第5回 人として当たり前に望む「どう働きたいか」

先日、ある看護管理者の方が「楽しく働きたいです…」とつぶやいておられたのを聞きました。管理業務に従事するなかで不全感をもっておられるようで、明らかに疲弊されていました。

その管理者の言う「楽しく」とは、「前向きに」「やりがいをもって」という思いです。「どう働きたいか」という問いに対し、「楽しく働きたい」という回答も1つの答えだと、はっとしました。キャリア形成も大切ですが、人として求めること・望みから遠ざかってしまうこともあるのではないかと、私は知らされたのです。

「働く」とは個人の価値観や状況によって異なる意味をもつ言葉で、その時々の自分自身に向き合って意味づけることが答えを導きます。「働く」は日常行為の一部ですから、「楽しく(前向きに、やりがいをもって)働く職場をつくる」ことは持続可能な組織の観点からも意味があります。

そもそも看護師はどこで働いていても看護師です。私たちが「看護で貢献する場」において期待され、発揮する役割に大きな違いはないでしょう。とかく改革となると方法論でとらえがちになりますが、「楽しく働く」を切り口に役職、先輩後輩、領域などの垣根を越えて本音で話し合い、そこから見えてくる改革もあるのではないでしょうか。

「楽しく働きたい」という、人としてごく当たり前に求めてよい望みを私は忘れていました。猛省します。


【プロフィール】
著者:
医療法人社団 顕鐘会 法人本部看護部兼人材育成部 総看護部長
医療法人 俊榮会 法人本部看護部 看護部長
医療系組織開発人材育成コンサル Samiri-lab.LLC 代表
入学 佐美里 先生
※本コラムは、メディカルサポート便り 2024年8月号に掲載されたものです。

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