2024年度診療報酬改定と歯科医院の施設基準ホームページ掲載義務
2024年度の診療報酬改定により、クリニックや医院のホームページにも「施設基準」の掲載が義務付けられました。
透明性を高め、患者さんが安心して医療機関を選択できる支援するのが目的です。
適切に対応しない場合、診療報酬の算定が認められないなどの不利益が生じることもあるため、早めの対応が求められます。
1
ホームページに掲載すべき主な施設基準
各歯科医院が対応している施設基準の内容を、できるだけ具体的かつ正確に記載する必要があります。主な基準例は以下のとおりです。
1. 歯科初診料注1の施設基準
- 医療安全対策研修を修了した常勤歯科医師1名配置
- 医師や歯科衛生士の複数配置
- 医療安全管理責任者の設置
- 緊急時の対応を行う体制の整備
- 医療安全対策に十分な体制の整備
- 安全対策に関する事項の院内掲示
- 上記体制に関する情報を医療機関内およびホームページに掲示
2. 歯科外来診療医療安全対策加算
- 医療安全対策研修を修了した常勤歯科医師1名配置
- 医師や歯科衛生士の複数配置
- 医療安全管理責任者の設置
- AEDなど緊急時対応機器の整備
- 緊急時対応マニュアルや訓練の実施
- 医療安全対策委員会や相談窓口の設置
- 上記体制に関する情報を医療機関内およびホームページに掲示
3. 医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算
- オンライン資格確認の導入、診療情報の電子的活用
- オンライン請求の実施、電子処方箋または電子カルテ情報の共有体制整備
- マイナンバーカード健康保険証を利用できる体制整備
- 医療DX推進体制に関する情報の院内掲示
4. 在宅歯科医療情報連携加算
- ICT(情報通信技術)を用いた患者診療情報の常時確認体制整備
- 他の医療機関や介護事業所等との連携体制構築
- 診療情報に基づく計画的な医学管理連携体制整備
- 上記体制に関する情報を医療機関内およびホームページに掲示
2
医療広告ガイドライン遵守の注意点
- 診療科名は正式名称を使用
「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」のみ標榜可能です。「インプラント科」「審美歯科」などの名称は使用できません。
- 治療内容は費用・リスク・副作用まで記載
特に自由診療に関しては、費用やリスク、副作用についても必ず明記しましょう。
- 主観的表現を避け客観的事実を記載
例:「必ず痛くない」「最新技術で安心」
など確証のない表現は避けましょう。具体的な内容や根拠データに基づいた説明にしましょう。
3
ホームページ掲載時の実践ポイント
- 自院の届出状況と要件を正確に把握し整理する
厚生労働省や地方厚生局など公的情報で確認します。
- 掲載情報は抽象的でなく、できるだけ具体的に記載する
例:「使用する歯科医療機器はすべてオートクレーブで滅菌処理」「AED設置済み」「オンライン資格確認導入済み」など。
- 患者さんが見つけやすい位置に公開
トップページから「施設基準」へのリンク設置や専用ページの作成、サイトマップや内部検索の活用など分かりやすく導線設計を行いましょう。
4
まとめ
歯科医院の施設基準情報のホームページ公開は、法的義務だけでなく患者さんの安心や信頼にも直結します。掲載する内容は根拠に基づき、具体的で患者さん目線のわかりやすいものとすることが重要です。