■多職種協働で活躍できる看護師育成のポイント
第9回 パラダイムシフトのための多職種協働と相互理解の強化

総務省統計局が今年発表した「統計からみた我が国の高齢者―「敬老の日」にちなんで―」という調査によると、わが国の総人口に占める高齢者人口の割合は29.1%と過去最高になった、ということである。

当院の入院患者の平均年齢は82.1歳で、後期高齢者がほとんどを占めており、上記のようなわが国の背景から今後もさらに高齢患者の入院が増えることが推測される。

入院患者は高血圧や糖尿病などの生活習慣病に加えて、誤嚥性肺炎や心不全、さらに認知症などの
複数疾患を抱え、独居も増加している。

よって、看護師のみでは患者の個別性に合わせた質の高い医療の提供は困難であり、パラダイムシフトが求められている。

当院の機能は在宅療養支援病院であり、訪問診療や訪問看護にも対応している。複数疾患を抱えている高齢患者を早期在宅復帰へとつなげるには、多職種協働による専門的能力の結集が必要不可欠となる。

したがって看護師に対しては、高齢患者に対応できる多職種の専門性を具体的に理解する機会をつくることが有用であり、実際の多職種からの講義などを取り入れた看護師教育が多職種協働と相互理解を強化すると考えている。


【プロフィール】
著者:
医療法人社団医凰会 並木病院
副院長兼看護部長 認定看護管理者
高野 紀子 先生

※本コラムは、メディカルサポート便り 2023年12月号に掲載されたものです。

投稿日 : 2024.12.09

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